[補遺] 絵本『とうせんばからのてがみ』(よこみちけいこ)
「とうせんば」という変わった地名の由来を調べていたところ、呉市のタウン誌「くれえばん」(2015年7月号)に『とうせんばからのてがみ』という絵本が掲載されていると知り、取り寄せてみた。
絵本『とうせんばからの手紙』は、呉市在住の絵本作家よこみちけいこさんの作品で、「とうせんば」に住むつやこが出征したお兄ちゃんに出す手紙を軸にした絵本。
つやこのお兄ちゃんは「鬼ぃちゃん」ではなかったようで(笑)つやこに慕われていて、つやこはお兄ちゃんからの手紙の返事をとても楽しみにしている。
呉空襲で焼けた家の跡から、つやこは「おにいちゃんのだいじにしとったこーひーかっぷ」を見つけるのだが、「もしかしたら『くれまち珈琲 とうせんば』という名前の由来に関係あるのかも!?」と思ってしまった。考えすぎか(笑)
うちの娘も一日の出来事をよく絵手紙にして教えてくれるので、つやことかぶって、ウルウルしてしまった。
さて、「とうせんば」という地名の由来だが、この絵本の中では、このように書かれていた。
また、「とうせんば」の場所についても説明があった。
本通九丁目(呉シネマ跡地付近)から山手に向けて左にそれる狭い道(一間から一間半)の両側に並ぶ商店街は、本通り、中通りから朝日遊郭への通り道でもあったことから、大正期から昭和期にかけて賑わいを増していった。
を参考にすると、「とうせんば」とは地図上の赤い線で示したあたりか?
よこみちけいこさんの絵本『とうせんばからのてがみ』。生き延びた晴美世代の呉戦災体験を伝えるものとして、『この世界の片隅に』を見られた方にも是非おすすめしたい作品。
なお、この絵本には原作があるようだ。杉山津矢子さんの『とうせんばと私 広島・呉 幻の商店街』(文芸社)という本だが、絶版の模様。
調べたところ、国会図書館、広島県立図書館、広島市立中央図書館には蔵書されている。
とうせんばと私 : 広島・呉 幻の商店街 (文芸社): 2005|書誌詳細|国立国会図書館サーチ東京から呉日帰り旅行記 (5)