ふるさと納税

【ふるさと納税】世田谷区の流出額が全国1位、2位を争う理由とよくある誤解

こんにちは。

世田谷区民のjun(@odakyu_de_go)と申します。

世田谷区のふるさと納税による『実質』の住民税流出額は、川崎市と全国1位,2位を争うレベルです。

ここではその「理由」とよくある誤解について紹介します。

世田谷区のふるさと納税による流出額が全国1位、2位を争う理由

理由は2つあります。

  • そこそこ所得の高い人が多く住んでいるから。
  • 地方交付税交付金の「不交付団体」だから。

【理由1】そこそこ所得の高い人が多く住んでいるから

世田谷区の平均所得は全国10位

御存知の通り、ふるさと納税は「所得の高い人ほど得をする」仕組みです。

世田谷区の平均所得は全国1,718の自治体の中で10番目に高いです。

以下は、2022年度の平均所得が高い市区町村 TOP20です。

都道府県 市区町村 平均所得
1位 東京都 港区 1,472万円
2位 山口県 周防大島町 1,178万円
3位 東京都 千代田区 1,077万円
4位 東京都 渋谷区 1,000万円
5位 東京都 中央区 761万円
6位 北海道 猿払村 732万円
7位 兵庫県 芦屋市 698万円
8位 東京都 目黒区 684万円
9位 東京都 文京区 668万円
10位 東京都 世田谷区 603万円
11位 東京都 新宿区 599万円
12位 北海道 安平町 578万円
13位 東京都 武蔵野市 562万円
14位 東京都 品川区 552万円
15位 山梨県 忍野村 528万円
16位 神奈川県 鎌倉市 523万円
17位 東京都 杉並区 501万円
18位 兵庫県 西宮市 496万円
19位 長野県 軽井沢町 487万円
20位 東京都 豊島区 485万円
総務省「令和4年度 市町村税課税状況等の調」の『課税標準額段階別令和4年度分所得割額等に関する調(合計)』より「課税対象所得÷納税義務者数」にて算出。

世田谷区の人口は94万人で都内で最も多い

そして、世田谷区は人口が94万人もいます。これは都内では最多です。香川県全体の人口とほぼ同じです。

東京23区の人口

「そこそこ所得の高い人」が「数多く住んでいる」のが世田谷区です。

区全体の課税所得で比べると、世田谷区は都内で最も高くなり、2位の港区と約1兆円も差があります。

市区町村 課税所得
1位 世田谷区 3兆721億円
2位 港区 2兆1,496億円
3位 大田区 1兆8,762億円
4位 練馬区 1兆7,248億円
5位 杉並区 1兆6,378億円
総務省「令和4年度 市町村税課税状況等の調」の『課税標準額段階別令和4年度分所得割額等に関する調(合計)』より。

これが都内で世田谷区のふるさと納税による住民税流出額が最も多い理由です。

港区の平均所得は1,472万円と世田谷区の2倍以上ありますが、港区の人口は26万人しかいませんので、世田谷区ほどは流出額は多くなりません。

【理由2】地方交付税交付金の「不交付団体」だから

横浜市は人口377万人もいます。

大阪市は276万人、名古屋市は232万人、川崎市は154万人います。

※2023年8月1日現在

これだけ人口が多ければ、世田谷区より平均所得が低くても、ふるさと納税による住民税流出額は莫大なものになるでしょう。

実際そうなのです。

「令和5年度課税における市町村民税控除額の多い10団体」を示したのが以下の表になります。

市町村民税控除額[単位:億円] 地方交付税
横浜市 272.4 交付団体
名古屋市 159.3 交付団体
大阪市 148.5 交付団体
川崎市 121.1 「不」交付団体
世田谷区 98.2 「不」交付団体
さいたま市 89.7 交付団体
福岡市 85.0 交付団体
神戸市 84.8 交付団体
札幌市 79.5 交付団体
京都市 73.9 交付団体

横浜市の控除額は世田谷区の約3倍、名古屋市・大阪市は世田谷区の1.5倍です。

では、なぜ、世田谷区のふるさと納税による『実質』の住民税流出額は全国トップレベルなのでしょうか?

横浜市、名古屋市、大阪市などは『地方交付税交付金』の交付を受ける団体(交付団体)で、流出した住民税額の「4分の3」を地方交付税交付金の増額という形で補塡されるからです。

一方、世田谷区、川崎市は『地方交付税交付金』の交付を受けない団体(不交付団体)で、流出した住民税額の補填は一切ありません。

参考:令和4年度 不交付団体の状況

そのため、『実質』の流出額では世田谷区、川崎市が1、2を争う結果になってしまうのです。

地方交付税交付金

国が地方公共団体の財政力を調整するために支出するのが、「地方交付税交付金」です。

東京都の住民一人あたりの地方税収は確かに多いのですが、東京都(個人・法人)が4割以上負担している「地方交付税交付金」の交付がほとんどないために、東京都の住民一人あたりの実際の税収(地方税+地方交付税交付金)は決して多いわけではありません。

詳しくは、特別区長会(23区の区長による協議会)の「不合理な税制改正等に対する特別区の主張(令和4年度版)」の4ページを御覧ください。

世田谷区のふるさと納税に関するよくある誤解

保坂展人区長が無能だから流出が止まらない?

既に述べたように、

「そこそこ所得の高い人」が「数多く住んでいる」から流出が止まらないのです。

保坂区長の政策に不満な人が敢えてふるさと納税して税金を流出させている?

なかにはそんな奇特な人がいるのかもしれませんが、誤差レベルではないでしょうか。

地方交付税交付金による穴埋め(=流出額の「4分の3」の補填)がなければ、流出額のトップ3は、横浜市、名古屋市、大阪市です。

その考えに拠れば、横浜市、名古屋市、大阪市には市長(山中竹春、河村たかし、横山英幸)の政策に不満を持つ人が多くいて、敢えて税金を流出させていることになります。

住民税流出による弊害

次に、ふるさと納税によって世田谷区から住民税が流出することによる『弊害』について考えてみましょう。

区民のために使われる税金が減る

区民のために使われる税金が減ります。

区外にふるさと納税すると、世田谷区の税収が減り、

  • 保健福祉
  • 子育て支援・教育
  • ごみ処理
  • 道路整備
  • 感染症対策

など、本来なら我々が受けられる行政サービスに必要な原資が少なくなってしまいます。

世田谷区の住民税流出額は年々増え続け、令和5年度は99億円になる予定です。

世田谷区からの住民税流出額

世田谷区によれば、小学校改築費用2校分で72億円とのことです。

小学校改築費用2校分の減収

ふるさと納税の恩恵を受けられる人と受けられない人の不公平が生じる

住民税の減収の影響は、世田谷区民に平等にふりかかります。

人口94万人で87億円の減収ですから、一人あたり約9,250円のマイナスになります。4人家族なら年間約37,000円のマイナスです。

高所得者にも低所得者にも等しくマイナスです。

しかし、高所得者はふるさと納税で「返礼品」を受け取ることができ、マイナス分を相殺できます。

100,000円ふるさと納税すれば、30,000円程度の返礼品を手に入れることができますから、マイナスを少なくできます。

一方、低所得者はふるさと納税の恩恵を蒙ることはできません。

世田谷区民も世田谷区にふるさと納税できる

以前、私は「返礼品」目的で、外部の自治体に結構ふるさと納税していました。

しかし、区からの税金流出が馬鹿にならないことを知ってからはなるべく控えるようにしています。

代わりに、世田谷区にふるさと納税しています。

世田谷区へのふるさと納税

世田谷区民も世田谷区にふるさと納税することができ、寄附額のうち2,000円を越える部分は、住民税等の控除対象となります。

世田谷区へのふるさと納税は、

で行うことができます。

掲載されている返礼品の数は「ふるさとチョイス」の方が多いです。

世田谷区は、「返礼品(モノ)」ではなく「寄附の使い道(コト)」への共感をきっかけとした寄附を募っているため、返礼品も地元の小さなお店や障害者施設で作ったお菓子など派手さはありませんが、ぜひ一度ご覧になってみてください。

後記:

ふるさと納税制度の改正により、世田谷区民に対しては返礼品が送られなくなりました。

なお、寄付ポータルサイト「ふるさとチョイス」では、クレジットカード決済よりもアマゾンペイ決済のほうがお得です。

ご存じない方は、以下の記事をご覧ください。

「ふるさとチョイス/ふるなび」でクレカ決済は損!アマゾンペイが得!

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陸マイラーです。ポイントやマイルを貯めて、毎月特典旅行しています。このブログでは、マイル獲得術、旅を快適にする知識・アイテム、実際の旅行記、搭乗記などを紹介しています。

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